「しっかり寝たはずなのに、朝から身体が重い」
「好きだったことを楽しめなくなった」
「頭がぼんやりして、仕事に集中できない」
「肩こりや頭痛が続いているけれど、特に思い当たる原因がない」
こんな不調を感じることはありませんか?
身体が疲れているのかな。運動不足なのかな。それとも、年齢のせいだろうか。
そう考えて、食事に気をつけたり、早く寝るようにしたり、気分転換をしてみたり。それでもなかなか調子が戻らないことがあります。
そんなとき、少しだけ思い出してほしいことがあります。
疲れているのは、身体だけではないのかもしれません。
私たちは、身体が疲れれば休もうとします。でも、心が疲れていることには、意外と気づけないものです。
心が疲れると、なぜ身体にも不調が出るの?
心と身体は、それぞれ独立して働いているわけではありません。脳と身体は神経やホルモンなどを通じて、常に情報をやり取りしています。
例えば、仕事で大きなプレッシャーを感じているとき。人間関係で悩んでいるとき。家庭や職場で気を張り続けているとき。
私たちの身体は、そうした状況に対応しようとします。
自律神経は、心拍や呼吸、消化、体温調節など、意識しなくても働く機能を調整しています。
ストレスを感じると、交感神経の働きが高まったり、ストレスに関わるホルモンの分泌が変化したりします。
これは、危険や負荷に対応するための自然な反応です。
ただし、緊張や不安が長く続くと、身体が休息に切り替わりにくくなったり、睡眠や消化の働きに影響が出たりすることがあります。
その結果として、眠れない、食欲が落ちる、胃腸の調子が悪い、頭痛がする、肩や首がこる、疲れが取れないといった症状が現れることがあります。
一方で、身体の痛みや睡眠不足が続くことで、気分が落ち込んだり、物事を前向きに考えにくくなったりすることもあります。
つまり、心の疲れが身体に表れることもあれば、身体の不調が心を疲れさせることもあるのです。
心と身体は、お互いに影響し合っています。
身体の不調に隠れている、心の疲れ
心の疲れは、必ずしも「気分が落ち込む」という形で現れるとは限りません。
例えば、こんな変化はありませんか?
- 夜になっても頭が冴えて、なかなか眠れない
- 反対に、十分に寝ているはずなのに眠気が取れない
- 食欲がなくなったり、反対に食べることで気持ちを落ち着かせようとしたりする
- 胃が重い、お腹の調子が安定しない
- 頭痛や肩こりが続いている
- 以前より疲れやすく、何をするにも億劫に感じる
- 集中力が続かず、簡単なことにも時間がかかる
- 好きだったことを楽しめない
もちろん、これらの症状には身体の病気など、さまざまな原因が考えられます。症状だけで、心の疲れが原因だと決めつけることはできません。
ただ、検査では大きな異常が見つからないのに不調が続いているときや、生活の変化とともに体調が崩れてきたときには、心の状態にも目を向けてみることが大切です。
転職、昇進、引っ越し、家族の病気、人間関係の変化。
こうした出来事は、必ずしも悪いことばかりではありません。嬉しい変化であっても、新しい環境に慣れるためにはエネルギーが必要です。
本人が「大丈夫」と思っていても、気づかないうちに頑張り続けていることがあります。そして、心の疲れは、いつも分かりやすいサインを出してくれるわけではありません。疲れているのは、怠けているからではない
ここで、ひとつお伝えしたいことがあります。
思うように動けないとき、何もする気が起きないとき。それは、必ずしも怠けているからではありません。
やらなければいけないことは分かっている。頑張らなければいけないことも分かっている。それなのに、身体が動かない。頭が働かない。いつもの自分ならできることができない。
そんなとき、「もっと頑張らなきゃ」「こんなことで疲れていてはいけない」と、自分を責めてしまう人もいるのではないでしょうか。
でも、心が疲れているときには、考えることや判断すること、人と関わることにも、いつも以上のエネルギーが必要になることがあります。普段なら簡単にできることが難しく感じられるのも、意欲が湧かないのも、心身の状態が影響している可能性があります。
身体が疲れたときに休息が必要なように、心が疲れたときにも休息が必要です。
それなのに、心の疲れは目に見えにくいため、自分でも周囲の人でも気づきにくいものです。
体調ばかりが疲れているわけではない。
頑張りが足りないわけでもない。
ただただ、心が疲れているときもある。
そんな自分を、責めなくてもいいのだと思います。
月花では、心と身体の状態を一緒に見ていきます
はり灸サロン月花では、お話を伺いながら、身体の状態だけでなく、睡眠や食事、日常生活の変化なども含めて確認することを大切にしています。
また、状態を把握するための方法のひとつとして、PHQ-9,PHQ-15などの質問票を用いることもあります。
例えば、PHQ-9は抑うつ症状の程度を確認するための9項目の質問票、PHQ-15はさまざまな身体症状の程度を確認するための15項目の質問票です。心療内科などでも使われる質問票なのですが、ご自身の抱えている不調はなかなか表現が難しかったり、伝わりにくいことがあります。この質問票を使うことであらためてご自身のストレスがどれくらいかを数字で見ることが出来ます。不思議かもしれませんが、数字で見ると少し安心したり、治療を続けていくと数値が変化することで見えにくい改善が見える化するというメリットもあります。
さらに、過去1年間に経験した生活上の出来事を振り返る尺度として、**社会的再適応評価尺度(SRRS)**があります。転職や引っ越し、家族の変化など、生活環境の変化に目を向けるためのものです。一見、喜ばしい出来事だったとしても心や身体にとってはそれがストレスになることもあるんです。ストレスは自分でコントロール出来ないものだからこそ客観的な視点で見ることが時として不調改善に役立つことがあるというのを日々の治療の中で気がつくことだったりもします。
とはいえ、点数だけで心の状態や病気を判断することはありません。
質問票を通じて自分の状態を振り返ることで、普段は見過ごしていた不調に気づいたり、施術者と状態を共有しやすくなったりすることがあります。
「なんとなく調子が悪い」という感覚も大切です。その感覚に加えて、具体的な症状や生活背景を整理していくことが、自分の状態を理解する手がかりになります。
鍼灸は、心の不調をすべて解決できるものではありません。それでも、身体の緊張や不調に目を向け、休息やセルフケアを考えるきっかけにはなれます。
不調が続くときには、必要に応じて医療機関にも相談しながら、自分に合ったケアを見つけていくことが大切です。
まずは、自分の疲れに気づくことから
毎日を忙しく過ごしていると、自分のことはつい後回しになってしまいます。
仕事や家事、家族のこと。やるべきことを優先しているうちに、自分がどれくらい疲れているのか、分からなくなってしまうこともあります。
だからこそ、ときどき立ち止まって、自分に問いかけてみてください。
「最近、ちゃんと休めているかな?」
「無理をしていないかな?」
「本当は、何がしんどいのかな?」
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
身体の不調をきっかけに、自分の心の疲れに気づくこともあります。反対に、心の疲れを認めることで、身体を休ませる必要性に気づくこともあります。
元気になろうと無理に頑張る前に、まずは今の自分の状態を知ること。
そして、疲れている自分を責めずに、少し休ませてあげること。
心も身体も、どちらも自分の大切な一部です。
もし今、理由が分からない不調を抱えているなら、「自分が弱いから」「頑張りが足りないから」と決めつけずに、心と身体の両方に目を向けてみてください。
月花が、そのきっかけのひとつになれたら嬉しいです。


