全日本鍼灸学会に参加して感じた「患者に寄り添う医療」とは

先日、5月30日〜31日岡山であった全日本鍼灸学会に参加してきました。
ちなみに全日本鍼灸学会は、鍼灸師の学会の中でも最も規模が大きく、全国から多くの鍼灸師や研究者、教育機関の先生方が集まる学術大会です。

今回の学会テーマは「患者に寄り添う医療」。

私自身も睡眠に関する研究発表を行うため参加してきました。
学会に参加するたびに新しい知識や技術との出会いがありますが、今回特に強く感じたのは、「患者に寄り添う」とは何かを改めて考える機会になったということです。

医療と鍼灸の距離が近づいている

今回の学会では、病院で医師や看護師、理学療法士など多職種と連携しながら活動している鍼灸師の発表が見られ増田。他にも地域でコミュニティを作ってその中で行う「鍼、灸」を通して行う健康講座。以前は、病院や大学で研究を行う先生方と、地域で患者さんを診る「街の鍼灸師」との間には、どこか距離があったり、自分には関係ないように感じているところがありました。

研究者は研究者。

臨床家は臨床家。

それぞれが別の場所で活動しているような印象があったのです。しかし近年は少しずつ変化している感覚があります。

研究者は現場の声を求め、臨床家は研究の視点を取り入れようとしている

お互いが歩み寄りながら、鍼灸という医療をより良いものにしていこうとしている流れを感じました。

それは私にとって、とても希望を感じる変化でした。

私自身も睡眠について発表しました

今回、私は睡眠改善鍼灸に興味を持って来院された患者さんを対象に行った調査について発表しました。(昨年募集した不眠改善鍼灸モニターですね)

当院では、睡眠に悩みを抱える患者さんに対して施術を行うだけでなく、アンケートや評価尺度を用いて、その方々がどのような悩みを抱え、どのような変化を経験しているのかを継続的に確認してきました。今回発表できたのは、協力してくださった患者さんのおかげです。

発表準備をしながら改めて感じたのは、一人ひとりの患者さんとの積み重ねが、こうして研究という形になるのだということでした。患者さんからお預かりした言葉や変化の記録は、単なるデータではありません。その背景には、一人ひとりの生活や悩み、希望があります。
だからこそ、発表の場に立ちながら感謝の気持ちでいっぱいになりました。

「患者に寄り添う」とは何だろう

今回の学会テーマでもある「患者に寄り添う医療」。皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。私は以前、「寄り添う」という言葉を、患者さんの話を丁寧に聞くことだと考えていました。

もちろんそれも大切です。

しかし今回の学会を通して感じたのは、それだけではないということでした。

患者さんに寄り添うとは、

「その人が本当に困っていることは何か」を理解しようとする姿勢ではないでしょうか。

例えば同じ「眠れない」という悩みでも、

・寝つきが悪い
・途中で目が覚める
・朝早く目が覚める
・疲れが取れない

など、人によって困りごとは異なります。

さらに、その先には

・仕事に集中できない
・家事がつらい
・気持ちが落ち込む
・家族に優しくできない

といった生活上の問題があります。

私たちが向き合うべきなのは、「眠れない」という症状そのものだけではなく、その先にある人生なのだと思います。

町の鍼灸院だからこそできること

今回の学会で改めて感じたことがあります。それは、街の鍼灸院だからこそ見えるものがあるということです。大学や病院の研究には大きな価値があります。一方で、日々患者さんと向き合う私たちだからこそ気づける変化もあります。
施術中の何気ない会話。
治療を続ける中で生まれる信頼関係。
患者さん自身も気づいていなかった心の変化。
そうしたものは数字だけでは見えてきません。だからこそ、臨床と研究の両方が必要なのだと思います。研究によって全体像を知り、臨床によって個人を知る。
その両方が合わさることで、より患者さんに寄り添う医療が実現できるのではないでしょうか。

学会で得たものを患者さんへ

学会に参加する目的は、知識を増やすことだけではありません。

そこで得た学びを患者さんへ還元することにあります。

今回も多くの刺激を受けました。

新しい研究との出会い。

臨床家の工夫。

研究者の視点。

そして患者さんに向き合う姿勢。

それらを持ち帰り、日々の施術に活かしていきたいと思います。

患者さんに寄り添う医療とは、特別なことではないのかもしれません。

目の前の一人の声に耳を傾けること。その方がどんな毎日を送りたいのかを知ろうとすること。そして学び続けること。

今回の学会は、その大切さを改めて教えてくれる時間となりました。

写真はこの日一緒に発表したオンラインサロンここちめいどのメンバー達。
私は1日目だったので発表が終わった後はホッと一息付けました。学会の話はもう少しだけ続きます。
お時間があるときにお付き合いくださいね。

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